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1月, 2019年

インプラントに健康保険は適用されますか? [2019年01月07日]

大田区池上西馬込駅最寄りの歯医者さん、ヨシダ歯科です。今回のテーマは「インプラントと健康保険の適用について」です。インプラントは歯科治療の一つであり、失った歯の変わりに人工の歯を立てる治療です。

治療方法は全く違うものの、「人工の歯」という点では入れ歯と同じ治療目的であり、そのため入れ歯同様に健康保険が適用されると思う方もいるでしょう。しかしインプラントは基本的に健康保険が適用されず、ここではその理由について説明していきます。

インプラントに健康保険が適用されない理由

健康保険適用の基準は国で定められており、簡単に言えば「健康目的とした必要最低限の治療」です。ですから、例えば健康目的と明らかに異なるホワイトニングには健康保険が適用されません。ではインプラントはどうでしょうか。インプラントは失った歯への対処として行う治療です。

このため健康目的の治療であることに間違いないですが、健康保険適用の基準である「必要最低限の治療」からは外れてしまいます。インプラントは審美性も高く、天然の歯に限りなく近い感覚を再現した治療方法です。

ですからインプラントには必要最低限以上の価値があり、そのため健康保険が適用されないのです。さて、冒頭で「インプラントは基本的に健康保険が適用されない」と表現しましたが、「基本的に」の表現どおり例外もあり、つまり健康保険が適用されるケースもあります。

インプラントに健康保険が適用されるケース

平成24年の4月以降、健康保険改定によってインプラントに健康保険が適用されるようになりました。しかし無条件で適用されるわけではなく、いくつかの基準を満たした場合のみ適用となります。基準は大きく分けて「治療を受ける側」と「治療を行う側」、それぞれに定められています。

治療を受ける側の基準

治療を受ける側…つまり患者さん側には次の基準が定められています。

・医科の保険医療機関の主治医によって生まれつきの病気と診断。さらに顎骨の1/3以上が連続して欠損している場合
・腫瘍や顎骨骨髄炎などの病気、もしくは事故によって顎骨の1/3以上を失った場合
・顎の骨の形成不全であること

…基準をまとめると、顎骨の欠損状態が細かく決められているため、歯周病で歯が抜けた場合などは健康保険が適用されないことが分かります。

治療を行う側の基準

治療を行う側…つまり歯科医院側には次の基準が定められています。

・病院(入院用のベッドが20床以上ある施設)になる歯科、もしくは口腔外科である
・下記のいずれかに該当する歯科医師が、常勤で2名以上配置されている
「その病院の歯科、または口腔外科で5年以上の治療経験を持つ」
「インプラント義歯の治療経験を3年以上持つ」
・当直体制、国が定めている医療機器、医薬品などの管理が整備されている

…基準をまとめると、病院としての基準を満たした歯科、口腔外科でなければなりません。さらに歯科医や当直体制にも基準が定められており、街の歯科医院ではまずこれらの基準は満たせません。

「治療を受ける側の基準」と「治療を行う側の基準」から分かるとおり、現状インプラントで健康保険が適用されるための基準は非常に厳しくなっています。最も、この基準は現時点のものであり、今後健康保険適用の基準が再び改定される可能性はあるでしょう。

歯科治療と健康保険

インプラントには基本的に健康保険が適用されませんが、歯科治療において健康保険が適用されないケースは他にもあります。

・歯列矯正
矯正治療も健康目的を兼ねているものの、審美性向上の目的があることも事実ですし、そもそも歯並びの悪さ自体は病気ではないため、健康保険は適用されません。

・ホワイトニング
歯を白くするホワイトニングは100%審美目的の治療のため、健康保険は適用されません。オフィスホワイトニング、ホームホワイトニング、デュアルホワイトニング、どのホワイトニングも同様です。

・オーダーメイドの入れ歯
入れ歯は健康保険が適用されますが、オーダーメイドの入れ歯では健康保険が適用されません。これは、審美性や耐久性において材質的に最低限以上の価値があるためです。

・セラミック治療
詰め物や被せ物をセラミックにする場合は健康保険が適用されません。ただし、セラミックの種類によっては基準を満たした場合に健康保険が適用されるケースもあります。

まとめ

いかがでしたか?
最後に、インプラントと健康保険の適用についてまとめます。

1. インプラントに健康保険が適用されない理由 :健康目的の治療として最低限以上の価値があるため
2. インプラントに健康保険が適用されるケース :平成24年の4月より、基準を満たした場合のみ適用される
3. 歯科治療と健康保険 :健康保険が適用されない歯科治療としては、他に歯列矯正などがある

これら3つのことから、インプラントと健康保険の適用について分かります。健康保険は文字どおり健康目的の治療にしか適用されませんし、例え健康目的であったとしても最低限以上の価値がある治療には適用されません。このためインプラントでは基本的に健康保険が適用されず、ただ例外として一定の基準を満たす場合のみ健康保険が適用されるようになっています。