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歯周病と虫歯は何が違うのですか?

2017年08月01日

大田区池上西馬込駅最寄りの歯医者さん、ヨシダ歯科です。
今回のテーマは「歯周病と虫歯の違い」です。
歯周病と虫歯はどちらもお口の病気として一般的ですが、これらを比較して考えてみましょう。

そうすると、同じお口の病気ではあってもこれらが全くの別物であることが分かります。
そこで、ここでは歯周病と虫歯の違いについて説明していきます。
特に歯周病についてはあまり詳しくないという人も多いと思うので、この機会に歯周病も知っておきましょう。

1. 要因の違い

歯周病も虫歯もプラークに存在する細菌に感染することで起こるため、その点においてはどちらも同じです。
ただし、歯周病を引き起こす細菌と虫歯を引き起こす細菌は全くの別物です。
歯周病は歯周病菌、虫歯は虫歯菌によって引き起こされるのです。
そして、症状を引き起こす細菌の種類が異なる以上、どちらか一方だけ感染することもあるのです。

歯周病と虫歯の予防方法は同じですから、どちらか一方だけ感染することに疑問を抱く人もいるでしょう。
しかし、症状を引き起こす細菌の種類が異なると分かれば、その疑問も解消できます。
歯磨きで虫歯菌を除去できても歯周病菌が残っていれば歯周病になりますし、
逆に歯周病は除去できても虫歯菌が残っていれば虫歯になるからです。

2. 症状の違い

歯周病は歯肉が炎症を起こし、それによって歯肉が腫れたり出血したりするようになります。
そして進行することで歯槽骨が徐々に溶かされていく…これが歯周病の症状です。
ちなみに、歯槽骨は歯を支える顎の骨であり、これが溶かされることで歯は支えを失って抜け落ちます。
つまり歯周病になると歯が抜けると言われるのは、歯槽骨が溶かされて歯が支えを失うからなのです。

一方虫歯の症状は歯が酸に溶かされることで穴があき、進行することで穴はどんどん深くなっていきます。
虫歯が象牙質まで進行すれば痛みを感じるようになるため、多くの人がこの時点で虫歯を自覚します。
ここで放置すると虫歯はさらに進行し、今度は虫歯菌が神経に侵入して痛みは激痛に変わります。
最終的には歯をボロボロにさせてしまいますが、その後も治療しない限り虫歯菌は生き続けます。

3. 箇所の違い

歯周病も虫歯も予防の基本は歯磨きですから、その点でどちらも歯の病気というイメージがあります。
しかしそうではなく歯周病は歯肉の病気であり、これは文字に注目するとすぐ分かります
歯周病は歯の周りの病気と書くため、「歯の周りの病気=歯肉の病気」とイメージできます。
ただし症状としては進行すると歯がグラついたり抜け落ちたりするなど、歯にも影響してきます。

一方虫歯は正真正銘歯の病気ですし、虫歯が進行して歯肉に害を及ぼすことはありません。
また、イメージとして虫歯は歯の噛み合わせる部分に起こるイメージがありますが、
それは少し違います。確かに奥歯などは噛み合わせる部分が虫歯になることが多いですが、
割合としては歯ブラシが届きにくい歯と歯の間の隙間…ここが最も虫歯になりやすいのです。

4. 自覚症状の違い

歯周病には目立った自覚症状はないため、初期段階では自分が歯周病であることに気付きにくいでしょう。
ただし、自覚症状が全くないわけではありません。歯肉が炎症を起こしていることで出血しやすくなりますし、
中期段階以降になると歯肉が退縮して下がるため、一見歯が長くなったように見えるのです。
また、歯槽骨が溶かされることで歯がグラつく、触ると動くなどの自覚症状もあります。

一方虫歯は歯に穴があくので目で見て分かりますし、何より痛みという分かりやすい自覚症状があります。
最も、初期段階の虫歯では痛みは感じないですから、痛む時点で既に虫歯は進行しています。
そして、虫歯が進行するに比例して痛みは増していき、神経が虫歯菌に侵されることで激痛を感じます。
この痛みが理由で歯周病よりも虫歯を警戒する人が多いですが、歯周病も歯を失う怖い病気です。

5. 治療方法の違い

歯周病の治療方法の基本は歯石の除去とプラークコントロールです。
ちなみにプラークコントロールとは患者さん自身が効率よくプラークを除去することで、
代表的な方法としては歯磨きが挙げられます。
しかし、進行することで歯肉の切開をする歯周外科手術を行うこともあります。

一方虫歯の治療方法ですが、これは多くの人が知るとおり歯を削って詰め物で処置するのが基本です。
最も、完全に初期段階の虫歯であれば削らずに治療することも可能です。
逆に虫歯が酷く進行した場合は削るだけでは治らず、
症状次第では神経の除去や清掃を行う根菅治療が必要になってきます。

まとめ

いかがでしたか? 最後に、歯周病と虫歯の違いについてまとめます。

1. 要因の違い :どちらも細菌に感染することで起こるが、細菌の種類は全く異なる
2. 症状の違い :歯周病は歯肉が炎症を起こして歯槽骨を溶かす。虫歯は歯に穴をあけて奥に進行していく
3. 箇所の違い :歯周病は歯肉の病気で虫歯は歯の病気。その点は文字からイメージできる
4. 自覚症状の違い :歯周病は歯肉が出血しやすくなる。虫歯は痛みという分かりやすい自覚症状がある
5. 治療方法の違い :歯周病は歯石の除去やプラークコントロール、虫歯は歯を削るのが基本

これら5つのことから、歯周病と虫歯の違いが分かります。
虫歯については症状や治療方法を既に知っているという人も多いでしょうから、
ここでは歯周病に注目してみてください。

痛みを感じない点で歯周病を軽視していた人は、それは間違いだと気付くでしょう。
進行すると歯が抜ける、治療において歯肉の切開が必要なことがある、
いずれも怖さを感じる事実であるとおり、歯周病も虫歯同様に怖い病気なのです。